相続手続き

相続における財産調査を解説!自分で手続きできます!

相続における財産調査を解説!自分で手続きできます! 相続手続き

相続の「財産調査」とは

相続における財産調査とは、故人が保有していたプラスの財産やマイナスの財産を詳細に調べることを指します。相続が発生すると、遺産分割協議や相続税の申告を行うために、まずは亡くなった方の財産をしっかりと把握する必要があります。
財産調査が必要な理由は、大きく分けて以下の3つです。
①遺産分割ができない
②相続放棄の判断ができない
③相続税の計算ができない

具体的には、預貯金、不動産、株式、借金などすべての財産を調査します。亡くなった方がどのような財産を保有していたのか、金額がどの程度であるかを確定しなければ、遺産分割協議を進めることはできません。財産調査は、相続手続きを円滑に進めるために、非常に重要なプロセスとなります。

財産調査の期限

財産調査自体には、明確な期限は設けられていません。しかし、相続するか放棄するかの判断を行うためには、財産調査を早めに完了させる必要があります。民法では、相続の発生を知った日から3カ月以内に相続の放棄を決定する「熟慮期間」が定められており、その期間内に財産調査も完了させることが求められます。

また、財産調査と並行して、相続人の確定(相続人調査)も同時に進める必要があります。これらの調査は、相続手続きを適切に進めるための重要なステップです。

財産調査の対象となるもの

こちらの記事を参考にしてください。

財産調査の方法

遺産の種類によって調査方法が異なるため、ここでは主な財産の調査方法について解説します。

預貯金の調査

・通帳やキャッシュカードを確認し、取引先の金融機関を特定します。
・取引が確認された金融機関に、通帳や戸籍謄本、本人確認書類を持参し、残高証明書を取得します。
・家族に内緒で開設された口座がないか、見覚えのない金融機関からの郵便物がないかも確認します。10年以上取引がない場合、口座が「休眠預金」となる恐れがあるため、注意が必要です。

不動産の調査

・不動産の売買契約書、登記簿謄本、権利証の有無を確認します。
・固定資産税課税明細書を確認し、固定資産税の納付状況を把握します。
・名寄帳を取得して、非課税の不動産も含めた所有不動産の状況を確認します。名寄帳は、不動産が所在する市区町村の役場で取得できます。

有価証券の調査

・取引がある証券会社が判明している場合、残高証明書を取り寄せます。法定相続人であることを証明する書類が必要です。
・取引がある証券会社が不明な場合は、証券保管振替機構(ほふり)に情報開示請求を行い、所有している証券会社を特定し照会します。

借金の調査

・借用書や借入残高が記載された書類、税金の未納通知書や督促状がないか確認します。
・借入先が不明な場合は、信用情報登録機関に照会して借入先を調査します。全国銀行個人信用情報センターや株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)などで手続きが可能です。

財産調査後にすべきこと

財産調査が完了したら、次に行うべきは「財産目録」の作成です。財産目録とは、プラスとマイナスの相続財産をすべて一覧にまとめたものです。この目録を作成することで、遺産分割協議や相続税の申告がスムーズに進みます。

財産目録の作成方法

財産目録には決まった書式はありませんが、預貯金、不動産、有価証券などのプラス財産と、借金や未払い税金などのマイナス財産をそれぞれ分けて記載し、詳細情報と評価額を明確にしましょう。

手書きでもExcelなどのソフトを使用して作成することも可能です。
大切なのは、相続人全員が遺産の内容を一目で把握できるようにすることです。目録が整っていれば、遺産分割協議や相続税申告の際に役立ちます。

相続税は遺産が3,600万円を超えるとかかる

財産調査の結果、一定の財産額がある場合には、相続税が発生する可能性があります。相続税は、他の税金と異なり納税通知書が送られてくるわけではなく、相続人が自分で納税額を計算し、申告と納税を行う必要があります。

ただし、すべての相続に相続税がかかるわけではありません。相続税には基礎控除額が設けられており、その計算式は【3,000万円+法定相続人の数×600万円】です。例えば、法定相続人が1人の場合、遺産が3,600万円以下であれば相続税は発生しません。

相続の状況は各家庭で異なるため、相続税の計算方法や申告に不安がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。
そうぞくんは、相続税の申告書を簡単に作成することができるWEBサービスです。
https://souzokun.com/
相続税の節税対策、遺言書作成について、もし不安なことや疑問などございましたら、サイト内から専門家(税理士、弁護士、不動産鑑定士など)にご相談いただくことが可能です。
是非、ご利用ください。

おわりに:財産調査は漏れがないように!

被相続人が保有していた財産の調査は、遺産分割協議や相続税の申告手続に欠かせない重要なプロセスです。
財産調査を早めに行うことで、相続手続きがスムーズに進みます。また、プラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金といったマイナスの財産も漏れなく調査することが大切です。
調査結果を基に財産目録を作成することで、相続手続き全体が効率的に進められるでしょう。

この記事を書いた人
白井 佑弥

大学卒業後、有限責任監査法人トーマツで約7年勤務したのち、2017年に独立開業。公認会計士(登録番号:33096)。
白井佑弥公認会計士事務所 代表
日本公認会計士協会東京会 業務委員会委員
経済産業省認定 経営革新等支援機関

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