財産目録とは
財産目録とは、被相続人が所有する全ての財産を一覧にまとめた書類です。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含めることで、相続方法を検討するための参考資料となり、遺産分割協議に活用することが可能です。
1. 被相続人が生前に作成する場合
被相続人が生前に作成する場合、遺言書と共に作成されることが多く、誰にどの財産を遺すかを決めるために財産を整理することができます。
手書き以外の方法でも問題ありません。
2. 相続人が相続発生後に作成する場合
相続人が相続発生後に作成する場合は、遺産全体を明らかにして相続手続きを進めるために作成します。
相続税の申告は、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えるかどうかを判断する際に使えることができます。
基礎控除額以内であれば、相続税の申告と納付は不要です。
財産目録を作成するメリット
財産目録を作成することには、以下のような主なメリットがあります。
- 総財産を明らかにすることで、相続税対策を考えられる
財産目録には、預貯金、不動産、有価証券など、すべての財産を記載します。
相続税対策としては、遺産の内容に応じて相続よりも生前に贈与する方が有利な場合もあるため、事前に対策を立てることができます。
例えば、相続人が不動産の評価額次第で現金が不足し、相続税を支払えない可能性があります。このような場合、事前に不動産の評価額を把握しておくことで、必要な現金を生前贈与するなどの対策が可能です。
- 相続放棄の判断
財産目録を作成することで、マイナスの財産も把握できます。負債が多い場合、相続人は相続放棄を検討することができます。
被相続人に多額の借金がある場合など、相続人にとって負担となるため、相続放棄を考慮することも重要です。生前に被相続人が目録を作成し、相続人に内容を共有しておけば、余裕をもって相続放棄の判断をすることができます。
- 遺産分割協議で活用
財産目録がない場合、相続人が遺産分割協議の前に財産の調査から始める必要があります。亡くなった方の財産の全容を把握するのは大変な作業です。
特に、身内が亡くなった後は葬儀の手配や公的手続きなどで忙しく、相続人同士でトラブルになることもあります。財産目録が生前に作成されていれば、遺産の全容を把握でき、スムーズに遺産分割協議をすることができます。
なお被相続人が作成していない場合、財産目録を相続人自身、もしくは専門家に作成を依頼することをおすすめします。
財産目録のテンプレート
テンプレートはこちらです。
是非、ダウンロードして、ご利用ください。
財産目録に記載する内容
財産目録に決まった書式はありませんが、主に以下の3つの項目を記載します。
- 作成日、署名押印
まず、財産目録の作成日を記載します。不動産や有価証券などは評価時期によって価額が変わるため、いつ時点の評価額なのかを明確にする必要があります。また、作成者の署名と押印も必要です。
- プラスの財産
すべての財産について、以下のような内容を記載します。
(例)
預金:金融機関名・支店名、口座種別、口座番号、口座名義、預金残高、管理状況等
建物:所在、家屋番号、構造、床面積、固定資産税評価額、管理状況等
土地:所在、地番、地目、地積、固定資産税評価額、管理状況等
株式:銘柄、株数、証券会社・口座番号、単価、管理状況等
有価証券:種類、証券会社等、口座番号等、数量等、金額、管理状況等
- マイナスの財産
借金、住宅ローンの未返済額、未納の家賃、税金、医療費、クレジットカード利用費などを記載します。
葬儀費用は遺産から支払う場合が多く、相続税の計算時には控除されますので、負債として目録に記載します。
財産目録を作成する場合の注意点
財産目録を作成する際には、以下の注意点をおさえておきましょう。
署名押印は各ページに必要
財産の種類が多く、財産目録が2ページ以上になる場合、署名と押印は各ページに必要です。
両面印刷した場合でも、表と裏のそれぞれに署名押印が必要です。
財産の特徴を明確に記載する
目録作成時には、記載されている財産がきちんと特定できるように詳細を明確に記載しましょう。
あいまいな表記の場合、遺産分割協議でトラブルになる可能性があります。
財産、負債の漏れがないようにする
記載内容に漏れがあることが後で発覚すると、協議をやり直さなければなりません。
協議のやり直しには手間がかかりますので、最初の段階で漏れなく全財産を記載することが大切です。
おわりに:財産目録は早めに作りましょう
財産目録を作成するメリットや記載する内容、作成時の注意点について解説しました。
遺言作成でも遺産分割協議においても、相続人同士で揉めないためにも、生前に財産目録を作成しておくと安心です。
生前から作っておくことをおすすめします。
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