【相続財産に不動産がある方向け】必要な手続きと流れを解説!

不動産

不動産を相続するときに必要な手続きと流れ

不動産を相続する手続きを以下の6つのステップに分けて解説していきます。

1.遺言書の確認

相続が発生したら、まず遺言書があるかを確認します。遺言書がある場合、その内容に従って相続手続きを進めます。

遺言書には以下の3種類があります。

・自筆証書遺言:自筆で作成された遺言
・公正証書遺言:公証人によって証明され、公証役場で保管される遺言
・秘密証書遺言:内容を秘密にしたまま作成し、存在のみを公証役場で証明する遺言

それぞれ保管場所が異なるため、被相続人の自宅や公証役場など心当たりのある場所を探してみましょう。
注意点として、自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合、家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。検認前に遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料を課される可能性があるため注意が必要です。

2.相続人の確定

遺言書がない場合、遺産は法定相続人が相続します。相続が発生したら、できるだけ早く相続人を確定させることが重要です。すべての相続人には相続の権利があるため、後から新たな相続人が見つかると、遺産分割協議を最初からやり直さなければいけません。そのため、被相続人の戸籍謄本をすべて確認しておくことが必要です。

なお、戸籍法の一部改正により、2024年3月1日以降、戸籍謄本等の広域交付(最寄りの市区町村窓口での請求)が可能になりました。

3.財産目録の作成

相続人の確定と並行して、財産目録の作成を進めていく必要があります。財産目録とは、不動産、預貯金、株式などの資産から、ローンや未払いの税金などの負債まで、相続財産の全体を一覧にしたものです。

参考:【記載例あり】財産目録の書き方を解説

不動産が相続財産に含まれるかどうかは、市区町村から届く固定資産税の納税通知書を確認しましょう。また、該当市区町村の役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得すると、その地域にある不動産のすべてを一覧で確認することもできます。

4.遺産分割協議

目録ができたら、誰がどの財産を相続するかを決める遺産分割協議をする必要があります。不動産の分割方法については後述します。
遺言書があればその内容に従って遺産を分割しますが、遺言書がない場合は法定相続人全員で協議を行う必要があります。この協議では、すべての相続人の合意を得なければなりません。

協議が成立したら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・捺印(実印)します。

参考:遺産分割協議書の書き方を解説

協議がスムーズに進まない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」の申し立てを行い、第三者を交えた話し合いで解決を図ります。それでも解決に至らない場合は、「遺産分割審判」に進み、最終的には裁判官の判断に委ねることになります。

5. 不動産の名義変更(相続登記)

不動産を相続する際には、相続登記を行い、被相続人から相続人へ名義を変更する必要があります。2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。 また、令和6年4月1日より前に相続した不動産で、相続登記がされていないものについては、令和9年3月31日までに相続登記をする必要がある点に気を付けましょう。

相続登記を行うには、必要書類をまとめて法務局に提出します。
必要な書類については後述しますが、スムーズな手続きのためには専門家の助けを借りることも一つの方法です。

6.相続税の申告・納付

相続税の申告・納付は、相続が発生した日(一般的には被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に行う必要があります。

申告期限に遅れると、延滞税や加算税が発生することがありますので、期限内に申告と納付を行うことが重要です。
特に、不動産などの資産を相続する場合は、評価額の計算や手続きが複雑になることがあるため、早めの準備を進めていきましょう。

不動産の相続に必要な書類

不動産を相続する際には、相続登記などの手続きに多くの書類を準備する必要があります。
代表的なものを以下に紹介します。

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
出生から死亡時までのものを最寄りの市区町村窓口で取得します。

・被相続人の住民票の除票
不動産の所有者が被相続人であることを証明するために使用します。

・相続人全員の戸籍謄本
被相続人の死亡後に、最寄りの市区町村窓口で取得します。

・不動産取得者の住民票
不動産を取得する相続人の住民票が必要です。場合によっては戸籍の附票でも代用できます。

・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
相続人全員が署名・捺印(実印)した協議書と、全員分の印鑑証明書を添付する必要があります。

・相続登記の申請書
法務局のホームページからダウンロードして作成することができます。

・固定資産評価証明書
相続登記時に納付する「登録免許税」の計算に使用されるため、最新のものを用意します。

・不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)
提出書類ではありませんが、取得しておくと不動産の正確な面積などを記入する際に役立ちます。

(参考)不動産の相続に関する税金

1.相続税
相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税が発生します。

2.登録免許税
不動産を相続した際の名義変更(相続登記)に必要な税金です。
 相続の場合、不動産評価額の0.4%が課税されます。土地と建物を両方相続した場合、それぞれが課税対象となります。

続いて、相続した不動産を売却した場合にかかる税金についても確認しておきましょう。

3.印紙税
不動産売買契約書などに必要となる税金です。

4.譲渡所得税
相続した不動産を売却して利益が出た場合に課税されます。

5.住民税
不動産を売却した際に、譲渡所得に対して課税される住民税です。

6.復興特別所得税
2037年まで、所得税に加算される特別税です。

不動産の価値や税金・費用のバランスによっては、相続が不利になる場合もあります。あらかじめ費用負担を把握し、場合によっては相続放棄を検討することも必要です。

(参考)相続不動産の分割方法

不動産は現金のように簡単に分割できません。代表的な不動産の分割方法は以下の通りです。

・現物分割
不動産を1人の相続人が相続する方法です。たとえば、兄弟がいる場合、兄が不動産を相続し、弟が預貯金を相続する方法です。シンプルでわかりやすいですが、財産の価値に差が出ると不公平間が生じる可能性があります。

・代償分割
1人の相続人が不動産を相続し、他の相続人にはその代わりに現金を支払う方法です。この方法は、不動産をそのまま相続する人に支払い能力が求められますが、財産の不公平感を減らすことができます。

・換価分割
不動産を売却して現金化し、その現金を相続人で分割する方法です。不動産をすぐに利用する予定がない場合や、運用する予定がない場合には選択肢となります。ただし、売却時に税金や費用が発生するため、財産が目減りする可能性があります。

・共有分割
不動産を相続人で共有する方法です。すぐに分割する必要がない場合に選ばれることがありますが、後々に相続人間で売却などの意見が分かれると問題が発生する可能性があります。また、相続人の1人が亡くなった場合、新たな相続が発生し、権利関係がさらに複雑になることもあります。

おわりに: 不動産の相続は手続きが複雑。困ったら専門家へ相談!

不動産の相続手続きは、多くの書類を準備する必要があり、状況によって必要な書類や手続きが異なります。また、不動産の公平な分割は難しく、トラブルが発生すると遺産分割協議が長期化する恐れもあります。
こうした複雑な手続きをスムーズに進めるために、弁護士や司法書士、税理士などの専門家がサポートしてくれることで、手続きが円滑に進むだけでなく、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。

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