【相続税申告を自分で行うか検討中の方へ】手続きの流れや判断基準、注意点などを解説

相続手続き

相続税の申告手続きは相続人自身で行うことができます。
実際に、令和3年度の国税庁実績評価書によると、相続税の申告における税理士の関与割合は約86%であり、約14%の人は自分で申告をしています。
この記事では、自分で申告を行う際の流れから注意点などを解説していきます。

相続税の申告が必要なケース

相続税は、相続人が自ら申告し納付する「申告納税制度」を採用しています。そのため、税務署から相続税〇〇円の納税通知書が送られてくることはありません。
遺産を相続した場合でも、必ずしも相続税がかかるわけではなく、相続した財産の額によって決まります。相続財産が基礎控除額内に収まっていたり、適用できる特例がある場合には、相続税が発生しないこともあります。

相続税の申告が必要なケースは、主に次の2つです。このいずれかに該当する場合は、相続税の申告が必要となります。

1.相続財産が基礎控除額を超えている場合

相続税の基礎控除額は、【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】で計算されます。
相続財産がこの基礎控除額を超えている場合は、相続税の申告が必要です。
例えば、父親が亡くなり、母親と子供3人(計4人)が法定相続人である場合、基礎控除額は【3,000万円+600万円×4=5,400万円】となり、5,400万円を超える財産には相続税がかかります。

2.特例、控除を受ける場合

相続財産が基礎控除額を超えていても、相続税には税額を軽減できる特例や控除がいくつかあります。
例えば、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などです。
このような特例や控除を適用して相続税が発生しない場合でも、相続税の申告手続きが必要になるので注意が必要です。

自分で相続税申告手続きをする際の流れ

自分で相続税の申告を行う際は、以下の手順で手続きを進める必要があります。手続きが複雑なため、各ステップをしっかり確認して進めましょう。

1.相続人の確認

まず、相続税の基礎控除額を確定するために、法定相続人は誰か、何人いるかを確認します。
法定相続人になるのは、被相続人(亡くなった方)の配偶者、子、親、兄弟姉妹です。配偶者は必ず相続人となり、その他の優先順位は①子(孫)、②親(祖父母)、③兄弟姉妹(甥姪)となります。事実婚の夫や妻、離婚した元夫、元妻は法定相続人にはなりません。

相続人の確認には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せて確認しましょう。

2.相続財産の調査

次に、故人が遺した財産を確認します。通帳や郵便物などの書類やデータを確認して漏れがないように確認する必要があります。相続財産には、預貯金や不動産のほか、借金などの負債も含まれます。これらをすべて洗い出し、相続人全員が納得した上で確認することが大切です。

3.相続財産の評価

相続財産が明らかになったら、その相続税評価額を算出します。
相続税を計算するためには、相続財産をすべて金額に直す必要があります。評価方法は、国税庁が定めた「財産評価基本通達」に基づいて評価を行いましょう。

4.遺産分割協議の実施

相続人と相続税評価額の総額(遺産総額)が確定したら、遺産分割協議を行います。
遺言がある場合はその内容に従い、ない場合は相続人全員で協議を行い、分割内容を決定します。協議内容は「遺産分割協議書」に明記し、相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付します。

5.相続税申告書の提出

最後に、相続税申告書を所轄の税務署に提出します。申告書は税務署の窓口で入手するか、国税局のホームページからダウンロードしましょう。また、e-Tax(電子申告)を利用すれば、自宅からでも申告が可能です。

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相続税を申告する際の必要書類

相続税を申告する際に必要となる書類は、相続する財産の種類によって異なります。ここでは、基本的に必要となる書類を紹介します。

基本的な書類

相続税申告書
相続税申告書は、税務署の窓口で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードします。申告する年に合わせたフォーマットを使用するようにしましょう。

遺言書または遺産分割協議書
遺言書がある場合は遺言書、遺言書がない場合は遺産分割協議書と相続人全員の印鑑登録証明書を提出します。

マイナンバー確認書類
マイナンバーカードがある場合は表面と裏面の写しを、ない場合はマイナンバー通知カード、もしくは住民票と身元確認書類(運転免許証、パスポートなど)を添付します。

相続関係がわかる書類
すべての相続人を明らかにするため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本が必要です。法定相続情報一覧図でも代用可能です。

財産に関する書類
相続する財産によって必要な書類が異なります。以下に、代表的な財産に関する書類を紹介します。

不動産関係書類
登記事項証明書、地積測量図、固定資産税課税明細書、名寄帳、賃貸借契約書(賃貸の場合)などが必要です。

預貯金関係書類
銀行口座の残高証明書、過去5年分の通帳や定期預金証書などが求められます。

相続税の申告を自分で行う場合に注意すること

相続税の申告を自分で行う場合には、手続きやスケジュールを全て把握して進める必要があります。特に注意すべきポイントは以下の通りです。

1.申告期限は10か月以内

相続税の申告は、被相続人が亡くなった日を含む翌日から10カ月以内に行う必要があります。10カ月は一見長いように感じるかもしれませんが、葬儀やその他の手続きが重なるため、時間はあっという間に過ぎてしまいます。また、相続人が複数いる場合には、全員の合意を得る必要があり、早めに手続きを始めることが重要です。

2.生前贈与、名義預金は相続税の課税対象になる

被相続人が生前に行った贈与でも、特定の条件を満たす場合は相続税の対象となります。例えば、「相続時精算課税制度を利用した贈与」や、「相続開始前7年以内の贈与」などが該当します。また、名義預金についても、実質的に被相続人が管理していた場合は相続財産に含まれますので注意が必要です。

3.誤りがあると過大申告やペナルティが発生する

相続税の計算や評価額に誤りがあると、必要以上に税金を支払ったり、不足していた場合にはペナルティ(附帯税)が発生する可能性があります。誤りのない、また損をしないように、慎重に手続きを進めることが求められます。

4.税務調査の場合に自ら対応するリスクがある

申告内容に誤りがあった場合、税務調査が行われることがあります。税務調査では、追徴課税が発生する可能性が高いため、リスクを十分に理解しておくことが重要です。

相続税の申告に関する相談先

相続税の申告に関して相談が必要な場合、以下の3つの相談先を検討すると良いでしょう。

1.税務署

相続税申告書の書き方や基本的な手続きに関する質問であれば、税務署の相談窓口を利用することができます。電話での問い合わせも可能ですし、書類を確認しながら具体的な相談をするためには、税務署の窓口での相談が望ましいでしょう。ただし、遺産分割や節税に関する相談には対応されない可能性があります。

2.「顧問」税理士

顧問税理士がいる場合、その方に相談するのも一つの方法です。ただし、税理士にも専門分野があるため、顧問税理士が相続税に詳しくない可能性もあります。相続税の知識が不足していると感じた場合は、相続専門の税理士に相談することを検討しましょう。

3.「相続専門」の税理士

相続を専門とする税理士事務所や法人があります。相続税に特化した知識と経験を持つ税理士は、遺産分割や節税のアドバイスを期待することができます。依頼するには費用がかかりますが、安心して相続手続きを進めるためには有効な選択肢です

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おわりに: 相続税の申告は自分でできる!困ったら専門家に相談!

相続税の申告は、相続人自身でも行うことができます!ただし、申告内容にミスがあった場合には、修正の手間やペナルティ(附帯税)が発生するリスクもあります。
心配な場合には、専門家に依頼することを検討し、自分で行うべきか、専門家に頼るべきかを慎重に判断しましょう。

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